い奴らがやってくる!おやじ達の熱き戦い:スペース・カウボーイズ
Space Cowboys 2000年8月4日に全米公開されたクリント・イーストウッド最新作「スペース・カウボーイズ」をご紹介。私の大好きなイーストウッドの新作がSFと聞いて、正直かなり驚いた。クリント・イーストウッドといえば、今年で70歳。一体これから宇宙で何をやらかすのだろうか。また、共演者のメンツをみても疑問だ。ジェームス・ガーナー、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランドと、主要な共演者は少なくても50歳以上。彼らは宇宙に飛び立つのか、それとも・・・!?ここ数年、おじいちゃんを主人公とした映画が非常に評判がよい。「ストレイト・ストーリー」「ウェイクアップ・ネッド」など、停年し、老後を楽しんでいるようなおじいちゃんを主人公に、人生のすばらしさ、そして人を恋しく思うせつなさなど、人間の感情をうまく突いた作品ばかりだ。もちろん、この「スペース・カウボーイズ」がそれらのような感動ものといっているわけではない。しかし、出演者の年齢が高いことは明らかにわかるだろう。そんな彼らがなんと宇宙に飛び出すというのだから、はたまた夢物語。しかし、映画だから許されるのだ!(笑) 夢物語の中で、どれだけ私たちに訴えるものがあるか。それが映画の面白さなのだから。公開3日間の興行成績は、イーストウッド映画でもベストの成績を記録したそうで、かなり期待できる。

Story
全然走れてないじゃん!(笑) 1951年、アメリカ、宇宙に飛び立とうと準備していたAir Forceのトップテストパイロット軍団、チーム Deadalusだが、事情がかわり、結局彼らの宇宙飛行は実現しなかった。彼らはその後引退したが、目の前まで迫っていた自分達の夢、宇宙に飛び立つことは決して諦めることはなかった。そんなある日、ロシアの衛星、IKON にシステムの異常が生じた。このシステム障害を放置しておくと、全世界の通信がストップしてしまうという事態に発展してしまいかねない。NASAのBob Gerson (James Cromwell) はこの事態に頭を抱えた。そしてふと思い出したのだ。この衛星は、アメリカの衛星、Skylabと同じシステムであることを・・・。このSkylabの設計者がIkon の異常を直すことができるはずだ。この仕事をこなす可能性があるのは、たった一人、Frank Corvin (Clint Eastwood)だけなのだ。Bobは早速Frankに連絡を取るが、彼の答えは、信頼できるメンツとしか仕事をしない。そう、そのメンツとは、以前同じ夢を実現しようとがんばったチーム Deadalusの面々だ。Hawk Hawkins (Tommy Lee Jones), Jerry O'Neil (Donald Sutherland), Tank Sullivan (James Garner)とFrankの4人が再び一つに団結し、新たなメンバーを加えて宇宙へと旅立つ。果たして彼らはIkon を、世界中を救うことが出来るのだろうか...。

Cast

Clint Eastwood (Frank Corvin)

俳優として、また監督としても活躍中のEastwoodもいよいよ70歳となる。かれこれ15年ほど彼のファンとしていろいろな作品を見てきたが、やはりここ最近の彼の作品は昔と比べ、一味違う。人間らしさのある、暖かい作品が多い。テレビドラマ「ローハイド」で人気を上げた彼だが、その後「アウトロー」などのウェスタン映画と「ダーティハリー」で人気を確立。その後は自分の好きなJazzトランペッターの自伝的映画「バード」やロマンスもの「マディソン郡の橋」など、様々なジャンルで才能を発揮。個人的に好きな作品は、まず初監督作品である「恐怖のメロディ」。音楽を上手に利用した映画のひとつで、撮影方法もなかなか興味深い。また「マディソン郡の橋」は女性にしか話題に上がらなかった作品だが、監督としての彼の仕事ぶりは評価したいところ。ラストの映像、構成がとてもきれい。テーマ曲はEastwood自身が作曲したものでもある。映画自体も個人的には非常に共感できる内容のものでもあった。一方「ダーティハリー」シリーズ(特に3作目が好き)も魅力的。最近のヒット作では「シークレット・サービス」があるが、この映画は彼の興行成績記録上でも成功した作品の一つだ。これから、俳優としてなんとなく丸くなったEastwoodの作品を見れることだろう。まだまだ楽しみの俳優さん。

Tommy Lee Jones (Hawk Hawkins)

主要メンバーの中では最年少(笑)。ハーバード大学卒業のTommy Leeは「逃亡者」で注目を集める。が、私はその前に「沈黙の戦艦」なんかのTommy Leeも好き。ちょっぴりクレイジーな役をやらせたら天下一品!ということで、映画自体は評判が悪かった「タイカップ」も、Tommyの演技は結構楽しめた。とはいっても、彼が演じるのはいつもかわった役が多く、なかなか理解されない部分が多いかもしれない。普通の役柄だと、いつも同じ感じの演技になってしまい、個性の見せ所が内容に感じるのは私だけだろうか!?"Men In Black"や「依頼人」「英雄の条件」など、30年のキャリアを活かしてビッグスクリーンで活躍するTommy Lee。今後はもっともっと渋味をきかせた演技が期待される。

Donald Sutherland (Jerry O'Neil)

悪役が定着しているDonald Sutherlandだが、彼の演技は本当にみどころがある。いわゆる奇人を演じても様になるし、かといって普通の役も演じることができる。実物の彼はとても温厚な人のようで、インタビューなどをみていても、彼のコミカルな性格がわかる。だからなおさら役柄とのギャップが面白い。カナダで生まれたSutherlandは、キャリアをDJとしてスタートさせる。大学時代から演劇に興味を持ち、舞台や映画などの仕事をこなすようになる。大学を卒業後はロンドンに移り、Rex Harrisonとの舞台デビューを果たしている。それにしても、DJだったというのは意外。とにかく幅広い作品に登場し、まじめな映画からサイコもの、いわゆるB級映画などにも顔を出している。息子のキーファー・サザーランドも俳優で、こちらもなかなか鋭い演技が魅力。

James Garner (Tank Sullivan)

メンバーの中でも最年長。おいおい宇宙にいっても大丈夫かぁ〜?宇宙の経験はなくてもショービジネスのキャリアは相当なもの。数年前にリバイバルされた"Marverick"を始め、数々の映画、そしてテレビ番組にも出演しているGarner。最近は特にテレビ映画への出演が多いようで、多忙な毎日を送っているもよう。それにしても、70歳を過ぎてもまだまだ活躍できるのはさすがにハリウッドならでは!"My Fellow American"のような、old forksとの共演作がおもしろいかも。