熱は音楽から始まる:Music is my Life!
音楽を題材にした映画はなぜは情熱的である。それもそのはず、音楽ほど情熱を表現できるものはないからである。言葉では表せない感情、身振り手振りでは伝えられない心の奥底に眠る本能を音と共に相手に瞬時に伝えることのできるもの、それが音楽である。音楽は私の命。そう思えるほど常に私の心の中で鼓動と共に音を奏でる。人生のすばらしさ、また生命の尊さを教えてくれるすばらしい音楽の世界をたっぷりお楽しみあれ!第一楽章は「天使にラブソングを・・・2」。夢に向かって一直線!と行きたいのに、さまざまな壁が立ちふさがる。自分の思い通りにいかないさまざまな事柄に対し、苛立ちを感じながらもなんとか自分らしさを表現しようと奮闘するティーンズたちの元気のよさはまさに第一楽章にぴったり。そして第二楽章「無伴奏シャコンヌ」では少しシリアスに。かなりのバイオリンテクニックを持ちながらも、足りない「何か」を求めて日々一人で楽器を奏でる。そしてそんな彼に恋する地下鉄の駅員。2人の微妙な関係がバッハのシャコンヌと共にほのかに描写される。そして第三楽章の「サルサ!」はプレストで。情熱で音楽を奏でろ!人生うまくいかない時も、サルサで吹き飛ばす、そんなラティーノの情熱に魅せられたフランス人がパッションでピアノを奏でる。

第一楽章:天使にラブソングを・・・2
Sister Act2 ラスベガスのショー・ビズ界で成功を収めたデロリスの元に、以前お世話になった修道院のシスター達が訪れた。社会奉仕として教鞭をとっている高校の生徒達があまりにひど過ぎ、デロリスに助けを求めに来たのだ。母校であるその高校を何とかしようとデロリスはサンフランシスコのシスターへと再び変身。その学校には音楽の才能にあふれ、自分自信を見つめることが出来ないティーンたちがいた。出演者のティーンズたちはオーディションで集められた新人たち。中には、有名人となったローレン・ヒルやジェニファー・ラブ・ヒューイットなどが登場している。またティーンズたちの中には数人レコードを発売した人もいるほどで、とにかく才能のある若者が勢ぞろい。また、これらをうまく利用してパワフルな作品に仕上げた監督のビル・デュークもなかなかの腕前。もともとウーピーのシスター役が売りだった全作に比べ、今回は音楽シーンを強調し、あくまでも主人公は自分のやりたいことは何なのか、また夢を実現しようとする時に目の前に立ちふさがる大きな壁にぶち当たり、試行錯誤する若者の姿がエンターテイメント性の中でもしっかりと強調されている。音楽には元Take 6 のMarvin Warrenなども参加しており、みどころは結構ある。とにかく見終わった時に元気がでる作品。第一楽章にふさわしく、元気にのびのびと感情を表現する。原題「Sister Act2 : Back in the Habit」1993年作品。アメリカ。監督:ビル・デューク 音楽:マイルス・グッドマン 出演:ウーピー・ゴールドバーグ/キャシー・ナジミー/ウェンディ・マッケナ/ローリン・ヒル/ロイアン・トビー他

第二楽章:無伴奏シャコンヌ
Le Joueur De Violin 自分の才能を極限まで高めようとする芸術家がどうしてもぶちあたる壁。それを乗り越えようと、パリの地下鉄構内を利用して演奏活動を続ける主人公。それまでのキャリアを捨て、ホームレスとして地下鉄で奏でる彼の旋律は希望を失った地下鉄を利用する現代人にささやかな希望を与える。そしていつしかその旋律に恋した女性職員が彼の支えとなり、バッハの「無伴奏シャコンヌ」は出来あがって行く。。。この映画のみどころはタイトルとなったバッハ「無伴奏シャコンヌ」の演奏。音楽を担当しているクレメールの演奏を楽しめる作品としてはかなりオススメである。また主人公を演じているリシャールはクレメールの猛特訓を受け、毎日6時間もの練習でバイオリンの弾き方をマスターしている。まさに俳優根性といってもよいだろう。ストーリーはわりと大雑把にまとめてしまっているが、音楽が人々に与える力を見せつけてくれる。第二楽章にしてはちょっと重めだが、プレストで入る第三楽章へのつなぎとしてはまさに絶品。原題「Le Joueur De Violin」1994年作品。フランス=ベルギー=ドイツ。監督:シャルリー・ヴァン・ダム 脚本:ジャン・フランソワ・ゴイエ 音楽:ギドン・クレメール 出演:リシャール・ベリ/イネシュ・デ・メデイロッシュ/ゲーノ・レークナー/フランソワ・ベルレアン他

第三楽章:サルサ!
Salsa クラシック・ピアニストとして将来を約束されていた主人公レミは、自分の情熱をかきたてるラテン音楽の魅力に取りつかれ、将来を捨ててキューバ人の友達のところへと押しかける。しかし彼等には彼等のコミュニティがある。確かにラテンピアニストとしての実力はあるが、彼等のコミュニティにはどうやって入りこめばいいのだろうか・・・。そこで彼は顔黒(がんぐろ)にし、偽キューバ人としての生活をスタートする。そんなある日、偶然出会ったパリジェンヌのナタリーと恋に落ちるのだが・・・。全編に奏でられる老舗キューババンド、シエラ・マエストラの情熱的な演奏が何ともすばらしい!人生つらいことがあっても決して顔に出すことはなく、常にハッピーな気分で乗り越えていこうというポジティブなラティーノ達の毎夜の宴が、人生とは何なのかを私達に問い掛ける。ハッピーでのりのいい作品なので、見終わった後に元気がでてすっきりするが、そんな元気も今までの苦悩の積み重ねが情熱的な音楽を生み出したのだ。映画を見てハッピーになるのも良し!はたまた自分の人生を見つめなおしても良し!ニ楽章からの重たい雰囲気を一気に吹き飛ばし、新しい未来へと希望の兆しを見せるラストをこの第三楽章で飾る。原題「Salsa」1999年作品。フランス=スペイン。監督:ジョイス・シャルマン・ブニュエル 出演:ヴァンサン・ルクール/クリスティアンヌ・グゥ/カトリーヌ・サミー/ロラン・ブランシュ他