命:Destiny
私は運命を感じるような出会いしたことが数回ある。それは恋人であったり、親友であったり。自分の人生はすでに決まっている、そしてそれが運命なのだ、とわりきることは出来ないが、私は運命というものをどことなく信じている。映画の世界において、ロマンチックな出会いや残酷な別れなど、様々なシーンを見てきた。心に残るシーンはどれも運命的であり、かつ現実的なものが多い。その中でも特にお気に入りの作品をご紹介したい。抜群の歌唱力を持って生まれたBarbara Streisandが見事に演じた「スター誕生」は、小さなクラブで歌っていた女性が一人のミュージシャンと出会うことでスターダムにのし上がる。仕事帰りに災難に巻き込まれ、さらにはトラブルを運んでくるとんでもない奴と知り合ったSteve Martinのとほほぶりがみどころの「大災難 P.T.A.」。「最高の恋人」では、一度は離婚したもののやはり自分の気持ちを断ち切れずに再び気持ちを伝えようとがんばるMatt Dilonが久しぶりに良い。そして私の大好きな究極の恋愛ものとして「ある日どこかで」の以上4本。あなたはどのような出会いを経験したことがあるだろうか。

スター誕生
どんな人間でも何かしらの才能を持っているといわれているが、すばらしい声とずば抜けた音楽の才能を持って生まれたBarbara Streisand。彼女が主演し、改めて力量を発揮したのがこの作品である。映画自体は正直いってちょっとしょぼい。(笑) しかし劇中惜しみなく披露する彼女の歌唱力には鳥肌が立つ。1937年に製作された同タイトル映画がオリジナルだが、その後1954年にジュディ・ガーランド主演でリメイクされている。そのため本作品は3度目のリメイク版。正直、この作品が一番迫力があって楽しめる作品になっているが、脚本がしょぼいのと、Barbaraと共演しているChris Christophersonがいまいちで映画自体はまぁまぁの出来。しかしシンガーとしての彼女の運命、そして一人の女性としての運命を名曲に載せて描いた作品ということでは、やはり運命的な瞬間を描いているといえよう。原題「A Star is Born」1976年作品。アメリカ。監督:フランク・ピアソン 脚本:ジョン・グレゴリー・ダン/ジョーン・ディディオン/フランク・ピアソン 音楽:バーブラ・ストライサンド 出演:バーブラ・ストライサンド/クリス・クリストファーソン/ゲイリー・ビジー他

大災難 P.T.A.
これを運命の出会いといわず、何といおうか。(笑) 感謝祭はファミリーと一緒に過ごすアメリカ。マーティン演じる主人公は仕事を終え、家族の元へと出張先から戻ろうとするのだが、さまざまな災難に見舞われ、なかなか家に戻ることが出来ない。飛行機の中でたまたま出会ったジョン・キャンディ演じるセールスマンがまた曲者で、彼がいろいろとトラブルを起こしてくれるのだ。しかしトラブルを運んでくるものの、憎めないジョン・キャンディと出会い、マーティンは少しずつ心を開き始めるのだが・・・。マーティンの映画としても、キャンディの映画としても、個人的にこの映画が一番好きで、かつ笑える。2人でドライブしているところ、キャンディがデビルに変身するシーンは特に笑える。飛行機で出会ったその日がまさに彼らの運命の日と言えるだろう。そして彼らの目的地とは・・・ホーム、心のよりどころなのだ。ジョン・ヒューズ監督らしいヒューマン・コメディに仕上がっており、とても笑い、感動出きる作品。彼らはその後もけんかしながら親友となったのだろうか。映画ファンには有名な話だが、Kevin Baconがキャメオ出演しているところも要チェック。原題「Planes, Trains and Automobiles」1987年作品。アメリカ。監督:ジョン・ヒューズ 脚本:ジョン・ヒューズ 出演:スティーブ・マーティン/ジョン・キャンディ/ケビン・ベーコン/ライラ・ロビンズ他

最高の恋人
運命の人と出会えたなら、どんなことがあっても一緒になれる。そう信じているのは・・・もしかして夢見がちな私だけかも。(笑) 何はともあれこの映画はそんな私をほっとさせてくれた作品。結婚していたディロンとシオラは意見の相違から離婚してしまった。シオラは大学に戻り、教授と浮気。ディロンにも新しい恋人がいる。しかし元妻が新しい人と結婚して幸せになってくれれば慰謝料の支払いも半減するかと、シオラに新しい恋人を探そうとするのだが、そうこうしているうちに自分の気持ちにも変化が見られる。愛する人と結婚して必ず成功するとは限らないし、気持ちの変化だってある。しかしもし相手が運命の人だったら・・・。時間の流れがとてもゆっくりとしていて、安心して2人の運命を見ることが出来る。原題「Mr.Wonderful」1993年作品。アメリカ。監督:アンソニー・ミンゲラ 出演:マット・ディロン/アナベラ・シオラ/ウィリアム・ハート/メアリー・ルイーズ・パーカー他

ある日どこかで
舞台は1972年。シカゴの大学に通う劇作家志望のリチャードは、処女作の公演が終わったばかり。仲間と打ち上げでわいわいしていたが、ホールの奥のほうに、1人見なれない老女がいた。やがて老女はすくっと立ちあがり、リチャードの元へと静かに歩み寄る。そして懐中時計を1つ、リチャードに手渡した。見ず知らずの人から時計をもらったリチャードはさっぱり意味がわからなかった。。。しかし8年後、仕事に行き詰まった彼がスランプ脱出のために旅行に出た旅先でその老女の正体を知る。彼女は女優のエリーズ・マッケナであった。彼女はリチャードの処女作公演が終わった後、このグランド・ホテルというホテルにやってきて、静かに息を引き取ったというのだ。一体彼女は何物で、なぜ自分に懐中時計を・・・?何とも切ないラブストーリーだが、実に美しい。ストーリーや映像、そして音楽すべてが美しく、2人の運命的な愛が明確に描かれた作品。写真に恋をして、その写真の相手に会いに行こうとタイムトラベルを試みるリチャードは気が違ったのかと疑ってしまうほどの入れこみよう。しかし本当に人を愛したならば、命をはってでもそれを照明しようとする彼の一途な想いには驚かされ、また深く彼らの運命を感じた。原題「Somewhere in Time」1980年作品。アメリカ。監督:ジュノー・シュウォーク 脚本:リチャード・マシソン 出演:クリストファー・リーブ/ジェーン・シーモア/クリストファー・プラマー/ウィリアム・H・マーシー他